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2019年度第3回関東例会(2019年10月5日)

下記の日程にて、関東例会(10月)を開催いたします。
みなさまのご参加をお待ちしております。

――――――――――
日時:2019年10月5日(土)13:30~17:45
場所:早稲田大学早稲田キャンパス 19号館 710教室(アクセス
例会終了後、1時間程度の簡単な懇親会を開催いたします。


第一報告(13:30~15:30)
報告者:勅使河原章氏(東京外国語大学大学院)
コメンテータ:菊池陽子氏(東京外国語大学)

報告題目:仏印処理後のインドシナの諸相―ラオス駐在ベトナム人行政官帰国問題とベトナム在住ラオス王子の帰国要請を通して

報告要旨:
アジア太平洋戦争末期仏領インドシナ地域はわずかな期間(1945年3月9日ー8月15日)であるが日本占領下となった。しかしながら当該地域のその間の外交行政活動の研究はほとんど明らかにされて来なかった。仏印処理後のインドシナの諸相を日本国が総督府を統治していた時代に作成されたベトナムに残されている公文書を考察し、従来知られていない案件が明らかになってきたので報告する。一つはラオスのベトナム人行政官の帰国問題でありもう一つはラオス皇太子による副王家の王子帰国要請である。
 フランスの植民地政策でラオスの行政官の多くをベトナム人としてきた。仏印処理によりフランス人が撤退したのち、ラオス政府の上層部サワン皇太子とペッサラート副王はこの機に合わせてベトナム人をラオスから退去させようとはかった。
 一方、サワン皇太子はペッサラートの末弟スパヌボンの帰国を総督府に要請した。要請の理由と総督府の対応について考察する。


第二報告(15:45~17:45)
報告者:川島緑氏(上智大学)
コメンテータ:菅谷成子氏(愛媛大学)

発表題目:19世紀~20世紀初頭ミンダナオ島ラナオ地方における紙の流通―イスラーム写本に使用された紙の検討を通じて―

発表要旨:
写本は単にテキストの媒体であるのみならず、それがどのような材料でどのように作られたかを伝えるアーティファクトでもある。近年、東南アジアのイスラーム写本研究が盛んになり、その影響下、南部フィリピンのイスラーム写本についての研究上の関心も高まりつつある。しかし、「もの」としての写本に注目し、使用されている紙や表紙の素材を記述し、それに基づいてこれらの材料の流通や書籍文化を検討する試みはほとんど行われていない。本研究はこのような研究の先駆的な試みとして、ミンダナオ島西部の内陸部に位置するラナオ地方の個人所蔵イスラーム写本42点に使用されている紙の種類を検討し、18世紀末から20世紀初頭ラナオ地方における紙の流通や書籍文化の一端を明らかにする。ラナオ地方は内陸部に位置し、19世紀末までスペイン植民地政府の直接支配を受けなかったため、従来は、スールー諸島やコタバト周辺に比べ、孤立性が高いとみなされてきた。しかし、これらのイスラーム写本にスペイン、カタロニア産のラグ・ペーパーや厦門から輸入された中国製の手すき紙が使用されていることから、これらの商品がラナオ地方で流通していたことが確認できる。さらに、一部の写本に、粗く太い繊維の手製の紙が使用されていること、および、聞き取り調査から、この地域で、以前はローカルな紙生産が行われていたことも確認できた。さらに20世紀前半に作成された写本には、海外から輸入した機械生産による洋紙が使用されるようになる。以上から、19世紀以前のラナオ地方では、スペイン、中国からの紙の流入、および、ローカルな紙生産技術が、この地域におけるイスラーム知識の普及を支えていたことが明らかにされた。

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